黒川温泉こうの湯
旅館 2024年
森に佇む温泉旅館の客室改修プロジェクト。
既存の客室と広縁の間仕切を取り払い、窓の外に広がる豊かな緑を最大限引き立てるデザインに一新した。
室内は畳敷きの床を採用し、木部は落ち着いた暗めの色調で統一した。間接照明を用いて照度を抑えることで、明るい窓外の景色に自然と意識が向くように工夫した。また、広縁に代わる要素として、窓辺にベンチを造作し、宿泊者が景色を楽しみながらゆったりと過ごせるスペースを設えた。老舗旅館に相応しい静けさと温かみのある空間とした。
黒川温泉がある南小国町は林業の町でもあり、地元の木材を使いたいという女将の想いに応え、腰壁や床の間の木部には、南小国町産の小国杉を使用した。さらに、窓際のペンダントライトには、小国杉で製作したリングをあしらい、客室に控えめな愛らしさを添えた。
宿泊者は客室にいながら、景色や素材を通して南小国町を感じられる。自然と調和し、心落ち着く時間を過ごせる客室空間となった。
建築概要
所在地:熊本県阿蘇郡南小国町
構造:木造2階建 改修
延床面積:331.2㎡
竣工:2024.7
クライアント:ふもと旅館/ 漣祐子
設計:阿部悠子設計アトリエ/ 阿部悠子
林田直樹建築デザイン事務所/ 林田直樹
施工:大海建設/ 木本将史・一二三龍彦
木材提供:穴井木材工場/ 穴井俊輔
木材加工:デジタル木工家 /三舛正順
撮影:yona design lab